サイエンス・インカレに参加したOBOGからのメッセージ | 第9回サイエンス・インカレ


■このメッセージは何?

  • サイエンス・インカレ公式に依頼を受けて無償で執筆したメッセージだが,半年も待たずに見ることができなくなっていたので,本稿に記録を残しておく.
    ちなみに以前は(http://science-i.mext.go.jp/)のリンクで見ることができた.

■基本情報

  • 氏名:中野 萌士(ナカノ キザシ)
  • 出場したインカレ:第4,5,6回サイエンス・インカレ出場
  • 発表分野:情報分野
  • サイエンス・インカレ受賞歴:【国立研究開発法人科学技術振興機構理事長賞】及び【サイエンス・インカレ審査員奨励賞】
  • 現在の所属・職業:奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 情報科学領域 博士前期課程2年 サイバネティクス・リアリティ工学研究室(執筆当時)

■受賞した研究のテーマ・内容について

  • AR(Augmented Reality)を使用して食べ物の見かけを変化させることで,食べているものの味をリアルタイムに変化させる味覚操作システムの開発および検証を行いました.簡単に言うと,そうめんをラーメンに変化させる味覚操作システムです.

■受賞時の感想

  • まず,とても嬉しかったです.最後の口頭発表で,文部科学大臣賞を逃してしまったのですが,すでにある賞に加えて,新しく賞を新設していただき,2つの賞を同時に受賞しました.自分の研究が伝わり,評価してもらった経験は忘れられません.

■サイエンス・インカレに参加して良かったこと

  • 早期に研究を始める切っ掛けになったことが一番大きいと思います.サイエンス・インカレという大会があったおかげで,研究の進め方や考え方を学ぶことができ,全国各地の同期と競い合うことができ,良い経験になりました.また,自分がやりたいと思ったことを先生方と相談しながら形作っていく事ができたことも良い経験です.加えて,自分の世界観が他人に伝わり,共感もしくは反感される楽しさや実世界をちょっとだけ変化させられることを知ってしまい研究を続ける道を選んでしまいました.

■自主研究で苦労した点や教訓

  • 初めて研究を行う際に,どのように研究を進めたら良いのか?進んでいる方角はこっちで良いのか?どのように人々に伝えていくのか?がなかなかわからず苦労しました.教訓としては大学の先生方を頼ることが一つの解決策でした.学部生の皆さんが思っている以上に先生方はたくさんのことを知っています.また,自分の世界観を理解しようとしてくれる学生には好意的に接してしまうものです.1時間位悩んでも答えが出ない場合は先生方を頼ってみましょう.答えがすぐに出なくとも,一緒に悩んでくれるんじゃないかなと思います.

■自主研究のおもしろさ

  • 自分のやりたいことをとことんやれることが一番面白いところです.こっちのほうが面白そう,楽しそうと思う方向に進んでいったとしても誰も文句を言いません(たぶん).もし,面白そうな方向が研究結果につながらなくてもいいんじゃないかと思います.そうなったとしても,仮説を立てて,検証して,考えるという研究の流れはやった人の財産になると思っています.また,自主研究はその人の個性が強く出ると思っています.個性を世界観に変えられるようになればもっと面白くなると思います.

■自主研究を進める際の工夫、発表時に心がけたこと

  • 自主研究をすすめる際には決して自分ひとりで悩まないこと,進めないことを心がけていました.身近な先生方や先輩方に舵をとってもらうことでより良い研究ができると思っています. 発表時に心がけたことは,聞いている人々を幼稚園児くらいの子供だと思うことです.様々な専門やバックグラウンドが集まるので,自分がわかっている伝わっていると思っていることでも,理解されていないことが多いです.また,わかりやすく説明していく中で自分の考えを噛み砕くことで,研究への理解が進むこともあります.発表する際もたくさんの子供に発表していると思えばあまり緊張しないかもしれません.あとは,楽しみながら自分が面白いと思うことを全力で伝えることです.発表の場は断頭台ではないのではなく,自分が見つけた楽しさを伝えるところです.もし,楽しさが伝われば,同じ楽しみを共有できる仲間ができるかもしれません.

■自身の現在の研究状況や仕事に活かされているか、または、将来の夢・目標など

  • 私は人がどのように味覚を感じているのだろう?やVR空間でどのように食体験を構築すればいいのだろう?について研究や活動を行っています.これもサイエンス・インカレで自分が面白いと思ったことを伝えることができたからかなと思います.現在はIPA未踏事業やDC1などに採択され,同じ楽しみを共有できる仲間と一緒に楽しみながら研究を行っています. 将来は研究を続けられたらなぁ…とは思いますが,どうなるかはわかりません.もしかしたら,エンジニアになってるかもしれませんし,アーティストになっているかもしれません.自分が面白いと思った方向に進み続けられたらいいなと思っています.

■サイエンス・インカレに参加するまたは興味を持っている学生の方々に向けてメッセージ・アドバイスなど

  • 楽しみながら研究をすること,悩んだらすぐに相談すること,楽しさを全力で伝えることの3点がアドバイスです.楽しくないと面白くありません.サイエンス・インカレは楽しみながら研究の流れを学ぶことができますし,楽しみを共有できる仲間が見つかる場所でもあります.もちろん,楽しくない作業や出来事もあるかもしれません.しかしながら,それを上回る楽しさを見つけることができる可能性もあると思っています.サイエンス・インカレに限らず様々な場で楽しんでいる皆さんの姿が見れたらいいなと思っています.